亡父から相続した自宅の前面道路が未登記だった!~相続手続き漏れに気づいた60代男性のケース~
ご相談者様の状況
ご相談者様
Zさん(60歳・男性)
倉敷市に自宅を構えて暮らす会社員の方からのご相談事例です。
ご相談内容と相続の背景
ある日、自宅の隣地所有者が不動産売却を予定しており、そのための境界立会いに立ち会った際に、思いがけない指摘を受けました。
「この前面道路、あなたの名義になっていませんよ」
Zさんの自宅は、数年前に亡くなった父より相続したもので、建物・敷地ともに既に自分の名義に変更していると認識していましたが、よくよく確認すると、前面道路部分の登記が漏れていたのです。
驚いたZさんは、当時の相続登記について思い返しました。
実はそのとき、自分では相続手続きを行わず、すべてを妻に任せていたのです。
奥様は法務局の窓口で相談しながら、相続に必要な戸籍を集め、遺産分割協議書を作成し、申請までを一人でこなしました。
手間も時間もかかる作業であったため、今回の不動産名義変更について奥様に再びお願いしたところ、「もうあの大変な手続きを繰り返すのは無理」と断られてしまいました。
費用がかかっても構わない、今回は専門家に依頼して確実に手続きを進めたいという思いで、当事務所へご相談いただきました。
相続手続きの設計
司法書士からのご提案内容
Zさんからヒアリングを進めると、当時の相続書類一式(戸籍謄本、遺産分割協議書など)は手元に残っていないとのことでした。
不動産の相続登記において、亡くなった方に関する戸籍や除籍の写しには有効期限がありません。
保管されていれば再利用できたのですが、今回は再取得が必要です。
また、私道部分は固定資産税の課税対象ではないため、市役所から送付される課税明細書に記載がなく、相続登記の対象から漏れることが多い箇所です。
今回もその典型であったと考えられます。そのため、今回は法務局へ事前に仮評価を依頼し、相続登記申請の準備を整えました。
さらに、遺産分割協議書の作成にあたっては、再び相続人全員の署名・押印と印鑑証明書の提出が必要になります。
Zさんのケースでは、相続人の一部から「前にも協議して決めたのに、また押印が必要なのか」といった不満の声もありましたが、事情を丁寧に説明し、法的手続きとしての必要性と公正性を理解してもらうことで、無事に協議は成立しました。
相続手続きを行うメリット
今回の手続きにより、Zさん名義での登記が漏れていた前面道路について、正式に所有権移転が完了しました。
これにより、将来ご自宅を売却・贈与する際の障害となるリスクを解消し、家族にも安心を残すことができた点が大きな成果です。
また、当事務所で戸籍一式の取得から相続関係説明図の作成、遺産分割協議書の作成、印鑑証明の取得サポート、法務局への申請までを一括して対応したことで、Zさんの精神的・時間的負担も大幅に軽減されました。
さらに、今回のような私道の名義漏れは、自力で相続登記を行い、登記識別情報(権利証)や相続書類の管理が不十分なケースでよく見られます。
法務局の無料相談などを活用してご自身で手続きを行う方も増えていますが、登記識別情報の紛失や登記漏れといったミスが発生すると、かえって手続きが複雑になり、費用も膨らむ結果となります。
最初から専門家に相続登記を依頼することで、こうした「やり直し」のリスクを回避できる点も大きなメリットです。
まとめ
事例の要約
Zさんのケースは、「相続登記を終えたはずなのに、漏れがあった」という典型的な事例でした。
私道や非課税地などの不動産は、固定資産評価証明書や名寄帳に反映されにくいため、見落としがちなポイントです。
また、登記完了後の書類の保管や管理が甘かったことで、当時の努力が一部無駄になってしまったことも否めません。
ただし、相続から数年しか経過しておらず、相続人も全員健在だったので、手続きが無事に進んだともいえます。
仮に、もっと時間が経過して、この相続人が亡くなると、今度は次の相続人へ相続(数次相続)され、さらに相続人が増えて遺産分割協議書に押印してもらえない可能性もありました。この点において隣地の方の境界確定で指摘してもらえたのは幸運だったのかもしれません。
今回、専門家である当事務所にご依頼いただいたことで、すべての相続手続きが適正かつ迅速に処理され、安心して今後の生活を送ることができるようになりました。
司法書士からのメッセージ
相続手続きは、一度きりのことだからこそ、確実に。
ミスのリスクを減らすためにも、相続の専門家のサポートをご活用ください。
倉敷相続・遺言相談窓口では相続の無料相談を受け付けております。相続に関してお困りごとがあればお気軽にご相談ください。