疎遠だった弟との相続協議を、専門家のサポートで円満に解決した事例
ご相談者様の状況
ご相談者
相談者は75歳の女性、Xさん。長年連れ添ったご主人を亡くされ、お子さまはいらっしゃいません。
現在は一人暮らしで、身近に相談できる家族もいない状況です。
ご相談内容
Xさんがご相談に訪れたのは、ご主人の遺した預貯金やご自宅の名義変更(相続登記)についてでした。ご主人が亡くなったことで相続手続きが必要となりましたが、相続人にあたる弟とは長年疎遠で、手続きに協力してもらえるかどうかも分からないという不安を抱えていらっしゃいました。
ご相談の背景
Xさんは自身で弟に手紙を送り、相続の話を切り出そうとされましたが、返事はありませんでした。
「どう進めればよいのか分からない」「専門家に相談した方が良いのではないか」との思いから、「倉敷相続・遺言相談窓口」へご相談にお越しになりました。
弟は遠方に住んでおり、そもそも数十年連絡を取っていない関係性で、互いの近況すら分からないという状況。今後の相続手続きが進まなければ、預貯金の解約や不動産の名義変更もできず、大きな不安を抱えておられました。
相続手続きの設計
司法書士からのご提案内容
まず、亡くなったご主人の戸籍謄本を取得し、亡くなったご主人の法定相続人を調査しました。
Xさんご夫婦にはお子さまがおらず、ご両親も他界しているので、亡夫のご兄弟が相続人となります。
その場合、亡夫の戸籍だけでなく、亡夫のご両親の戸籍(出生から死亡まで一式)も必要となります。仮に、ご両親に再婚歴などがあり、他にも子ども、つまり異母兄弟がいれば、その方も相続人となります。
今回はXさんより伺ったとおり、弟と妻であるXさんの二名が相続人であることが確認されました。Xさんからのご希望とこれまでのやりとり状況を踏まえ、当事務所より弟宛に「Xさんより相続の相談を受けている」という旨の手紙を送付しました。返事があれば円満に手続きを進め、返事がない場合には家庭裁判所で遺産分割調停を申し立てる方向で進めるご提案をしました。
相続の目的
相続人間での適切な協議によって、預貯金の解約や不動産の名義変更を円滑に完了させることが目的です。
また、関係が疎遠な相続人同士で話し合いをしても感情的になりやすく、かえってトラブルに発展するリスクがあるため、当事務所が中立な立場から相続手続きを調整することで、双方にとって納得できる形での解決を目指しました。
相続財産
相続の対象となった財産は、金融機関に預けられていた預金と、夫婦で居住していた不動産(持ち家)です。いずれも名義がご主人のままであり、相続手続きを経て名義を移す必要がありました。
・当事者:
└ 相続人:Xさん(配偶者)および、Xさんの弟(被相続人の弟)
相続手続きを行うメリット
具体的な効果
当事務所から送付した書類が功を奏し、しばらくして弟から当事務所に直接連絡が入りました。
「どういった手続きが必要なのか知りたい」との意向で、その後はスムーズにやり取りができました。
通帳の写し、不動産の評価証明書、登記情報、葬儀費用の領収書などを整理・情報共有しました。最終的には、弟は相続分を放棄する意向でしたが、Xさんのご希望を伺って、弟に対して「印鑑代」として可能な限りのお金を支払うことで合意に至りました。
協議が整った後、相続人双方が遺産分割協議書に署名押印し、これをもって預貯金の解約手続きおよび不動産の相続登記を無事に完了することができました。
相続手続きを司法書士に依頼いただくメリットの整理
• 戸籍調査により法定相続人を正確に特定できた
• 疎遠だった相続人との間でも、専門家を介することで円滑な協議が可能となった
• 遺産分割協議を経て、不動産の相続登記および預金の解約を実現
• 家庭裁判所での調停に至る前に円満に解決でき、時間と労力を軽減
相続手続きの流れ
1. 戸籍による相続人の特定
2. 被相続人の財産内容の調査
3. 相続人間での遺産分割協議
4. 不動産の相続登記および預貯金の解約
まとめ
事例の要約
本件は、疎遠だった弟との相続問題を、専門家の介入により冷静かつ円満に解決した事例です。
Xさんは当初、手続きの進め方が分からず戸惑っていましたが、戸籍調査と丁寧な説明、相手方への配慮ある文書送付により、相手との合意形成に至ることができました。その結果、無事に預貯金や不動産の相続手続きを終えることができ、Xさんもほっとしたご様子でした。
司法書士からのメッセージ
相続は、財産だけでなく人間関係も深く関わってくるため、当事者同士だけで進めようとすると予期せぬトラブルにつながることも少なくありません。
今回のように、関係が疎遠な相手がいる場合でも、専門家の中立な立場からのサポートを受けることで、円滑に話し合いを進めることが可能になります。
少しでも不安がある方は、早めに専門家に相談することをおすすめします。